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インクルーシブ保育とは?統合保育との違いや実践例をわかりやすく解説

8月31日
読了時間: 6分

更新日:9月4日

「インクルーシブ保育が大切なのは分かる。でも、実際の保育ではどう考えればいいのだろう」


そんな迷いを感じることもあるのではないでしょうか。


インクルーシブ保育は、全員に同じことを求めるのではなく、一人ひとりがその子なりに参加できる環境を考えていく保育です。


この記事では、インクルーシブ保育の考え方や実践のヒントを、わかりやすく紹介します。


インクルーシブ保育とは?



インクルーシブ保育とは、障害の有無などにかかわらず、多様な子どもが共に過ごし、一人ひとりの特性や発達に応じた保育を行う考え方です。


国内では「インクルーシブ保育」について統一された明確な定義はありませんが、こども家庭庁の調査研究では、障害の「ある・ない」で分けるのではなく、誰もがそれぞれ異なるニーズを持つことを前提とした考え方が示されています。


保育所保育指針でも、一人ひとりの発達過程や個人差に配慮することが求められています。障害のある子どもについても、適切な環境を整え、ほかの子どもとの生活を通して共に成長できるようにすることが示されています。



■ 統合保育との違い

「インクルーシブ保育」と似た言葉に「統合保育」があります。


こども家庭庁の調査研究では、従来の統合化保育は、障害のある子どもが障害のない子どもの集団に入り、その子の特性に応じた保育を受ける考え方として整理されています。


一方、インクルーシブ保育では、障害の有無だけで分けるのではなく、すべての子どもにそれぞれ異なるニーズがあると考えます。


そのため、全員が同じ活動をすることが目的ではありません。一人ひとりの状況に応じて、参加の仕方や過ごしやすい環境を考えていくことが大切です。



■ なぜインクルーシブ保育が重視されている?

こども家庭庁は、保育政策の中で「インクルージョンの推進」を掲げています。


障害のある子どもや医療的ケア児などの受入体制を充実させ、一人ひとりの特性に応じた支援を進めています。


また、保育所等と児童発達支援事業所等が連携し、子どもたちが共に過ごしながら支援を受けられる仕組みも整えられています。


つまり、多様な子どもが共に育ち、一人ひとりに必要な支援を受けられる環境づくりは、国としても推進している方向性といえます。




インクルーシブ保育のメリットと課題



インクルーシブ保育には、子ども同士が共に過ごすことで生まれるメリットがあります。


文部科学省・厚生労働省・内閣府の資料では、障害のある子どもがほかの子どもと一緒に生活することで、さまざまな刺激を受けて興味や関心を広げたり、一緒に過ごす楽しさやうれしさを感じたりする機会になるとされています。


一方、実践するうえで大きな課題となるのが、人員体制の確保です。


一人ひとりの特性に合わせて、活動への参加方法を変えたり、個別に声をかけたりするには、それだけ保育者が対応できる余裕が必要です。


実際に保育現場からは、加配保育士を確保できないことや、職員数が十分でないことを課題とする声も上がっています。


インクルーシブ保育を進めるためには、保育者一人ひとりの工夫だけに頼るのではなく、必要な人数を確保し、園全体で支援できる体制を整えることも重要です。



インクルーシブ保育の実践例



インクルーシブ保育に、すべての子どもに共通する一つの方法があるわけではありません。大切なのは、その子がどこで困っているのかを考え、環境や関わり方を工夫することです。


■ 集団活動に参加しにくい場合

先生が話している途中で、その場から離れてしまう子どもがいることがあります。


その背景には、

  • 話の内容が分かりにくい

  • 話すスピードが速い

  • 話が長く、集中し続けることが難しい

といった理由があるかもしれません。


「最後まで座ること」だけを求めるのではなく、話を短くする、伝え方を変えるなど、その子が参加しやすい方法を考えることも大切です。



■ 活動の切り替えが難しい場合

遊びから片付け、食事から午睡など、活動の切り替えを苦手とする子どももいます。


文部科学省では、一日の流れをスケジュール表などで示し、次に何をするのか見通しを持ちやすくする工夫が紹介されています。


ただし、同じ方法がすべての子どもに合うわけではありません。その子の様子に合わせて、分かりやすい伝え方を考えていくことが大切です。



■ 言葉だけでは伝わりにくい場合

言葉だけでは理解しにくい場合には、


  • 実際に動いて見せる

  • 絵や写真を使う

  • 一度に伝える内容を少なくする

  • 身振りや手振りを加える


といった工夫があります。


文部科学省・厚生労働省・内閣府も、ルールを行動で示したり、言葉に身振りや手振りを加えたりする方法を紹介しています。


大切なのは、決まった方法を当てはめることではなく、その子が理解しやすく、参加しやすい方法を考えることです。




インクルーシブ保育を実践する際のポイント



■ 園全体で連携して取り組む

インクルーシブ保育を、担任や特定の保育士だけで担うことには限界があります。


文部科学省・厚生労働省・内閣府は、子どものよさや得意なことを先生同士で共有し、複数の視点から子どもを理解することの重要性を示しています。また、障害のある子どもへの支援は、担任だけで抱えるのではなく、園全体で組織的に対応することが求められています。


一人の保育士だけで対応を考えるのではなく、園全体で子どもの様子や支援方法を共有していくことが大切です。




■ 一人ひとりに合わせて環境を整える

子ども本人への声かけや支援だけでなく、過ごしやすい環境を整えることも大切です。保育所保育指針では、一人ひとりの発達過程や個人差に配慮し、子どもが自発的・意欲的に関われるよう環境を構成することが示されています。


たとえば、

  • 活動する場所

  • 周囲の音や人の多さ

  • 説明の方法

  • 活動する時間

  • 使用する道具

などを、その子に合わせて見直すことが考えられます。


どのような環境が合うかは一人ひとり異なります。子どもの様子を見ながら園内で話し合い、必要に応じて家庭や専門機関とも連携して考えていくことが大切です。



まとめ



インクルーシブ保育では、障害の有無にかかわらず、子どもたちが共に過ごせる環境を考えていきます。


とはいえ、一人ひとりに合わせた対応をするのは簡単ではありません。


だからこそ、全員に同じことを求めるのではなく、その子が参加しやすい方法を考えることが大切です。


また、一人の保育士だけで抱え込まず、園内で共有しながら、無理なく続けられる方法を探していくことも重要です。

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