保育施設で午睡中にこまめな見守りが必要な理由



理由1:乳幼児の死亡事故の多くは睡眠中に発生しているため

「教育・保育施設等における事故報告集計」という内閣府が取りまとめている統計情報が毎年公表されています。その統計データの最新6年分を集計して表にまとめました。

保育施設における事故報告件数は年々増加していますが、死亡事故件数は減少傾向とみてとることができます。

また死亡事故発生時の状況としては、睡眠中に発生する割合が約7割と高い比率を占めていることが分かります。


出典:『教育・保育施設等における事故報告集計』から作成



理由2:SIDS(乳幼児突然死症候群)の予防にうつ伏せ寝の回避が有効なため

SIDSとは、「原因が分からない原則1歳未満の児に突然の死をもたらした症候群」と定義されているものです。日本での発生頻度は出生6000~7000人に1人で、生後2~6か月に多く、まれに1歳以上で発症することもあります。

そのリスクの一つがうつぶせ寝と考えられており、あおむけ寝を推奨するキャンペーンが始まってから発生率は顕著に低下し、国内においては1997年に538名だった死亡者数も2018年には60名と明らかに減少しました。



理由3:SIDSには多くの要因が重なることで引き起こされる可能性があるため

SIDSの要因は、未だに解明されておらず不明なことが多くありますが、現在ではTriple Risk Modelという要因の仮説が提唱されています。

これは危険因子を一般的な要因(脆弱性:貧困・未熟性・性別・人種など)と月齢要因(自律神経の調節の発達段階)、促進要因(外因性ストレス:睡眠状態・体位・感染など)の3つに分類するもので、これらの要因が重なることで突然死が惹起されるとされています。

J J Filiano, H C KinneyA perspective on neuropathologic findings in victims of the sudden infant death syndrome: the triple-risk model


保育士のこまめなチェックによる対応が必要

これらのような背景から、子どもたちの安全のためにも保育士の方々には様々な対策をしてもらっています。具体的なガイドラインとして、厚生労働省からも平成28年に教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドラインを定めて公表されています。

厚生労働省:教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン【事故防止のための取り組み】

このガイドラインにおいて、睡眠中の安全な環境を確保するためのポイントとして以下の点が示されています。

  • 医学的な理由で医師からうつぶせ寝をすすめられている場合以外は、 乳児の顔が見える仰向けに寝かせることが重要。何よりも、一人にし ないこと、寝かせ方に配慮を行うこと、安全な睡眠環境を整えること は、窒息や誤飲、けがなどの事故を未然に防ぐことにつながる。

  • やわらかい布団やぬいぐるみ等を使用しない。

  • ヒモ、またはヒモ状のもの(例:よだれかけのヒモ、ふとんカバーの内側のヒモ、ベッドまわりのコード等)を置かない。

  • 口の中に異物がないか確認する。

  • ミルクや食べたもの等の嘔吐物がないか確認する。

  • 子どもの数、職員の数に合わせ、定期的に子どもの呼吸・体位、睡眠状態を点検すること等により、呼吸停止等の異常が発生した場合の早期発見、重大事故の予防のための工夫をする。


保育士の負担軽減をするためには

しかしながら、多忙な保育業務を行う保育士の負担を軽減するために、午睡中の記録業務や見落としリスクの軽減のために見守りシステムを利用することは、少しでも子どもの見守りに専念するためには有効であると考えられます。

ICTやAIによって保育士は何もしなくて大丈夫といった考え方ではなく、どのように活用するかを考え、実行していくことでより子どもの安全性も保育士の働く環境も改善していけるのではないでしょうか。