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保育士の配置基準改善で変わる保育園運営|2025年度からの変更点とは(2025年動向シリーズ第2回)

  • emcjpn
  • 4月1日
  • 読了時間: 9分

更新日:4月25日


近年、少子化が進む一方で、保育の質の向上が求められています。 

 

その中で、政府は保育士の負担軽減と保育の質向上を目的として、「保育士の配置基準」の見直しを進めています。 

 

本記事では、保育士の配置基準の変更点とその影響について詳しく解説し、保育施設が今後どのように対応すべきかを考察します。 




保育士の配置基準とは?  

近年、共働き家庭の増加に伴い、保育施設の需要は高まり続けています。その一方で、保育士の負担増加や人材不足が問題となっており、国は保育士の配置基準を見直す動きを進めています。 

 

ここでは、「保育士の配置基準」の基本的な仕組みと、その見直しが必要とされる背景について詳しく解説します。 


保育士の配置基準とは 


保育士の配置基準とは、児童福祉法に基づき、保育施設で子どもを適切に保育するために定められた保育士の最低配置数を指します。これは、子どもの年齢に応じて異なり、年齢が低いほどより多くの保育士が必要とされます。 

 

例えば、現在の国の基準では、 

0歳児

保育士1人につき子ども3人まで

1-2歳児

保育士1人につき子ども6人まで

3歳児

保育士1人につき子ども15人まで

4-5歳児

保育士1人につき子ども25人まで

というように定められています。 


 この基準は、子どもの安全を確保し、適切な保育を行うための最低限のラインであり、保育施設の運営や職員の採用計画に大きな影響を与えます。 

 

ただし、現場では「基準ギリギリの人数」では十分なケアを提供するのが難しいという声も多く、より手厚い配置を求める動きが広がっています。 


配置基準改善の背景と意図 


政府が保育士の配置基準を見直す背景には、以下のような理由があります。 

 

① 保育士の負担軽減 

現状の配置基準では、特に乳幼児の保育において、保育士1人ひとりの業務負担が大きくなりがちです。オムツ替えや食事の補助、午睡チェック、保護者対応など、多岐にわたる業務を限られた人員でこなさなければなりません。 

 

特に午睡チェックは、定期的に目視で確認しなければならず、負担が大きい業務の一つです。 

 

こうした負担を軽減し、保育士がより子どもと向き合う時間を確保できるようにするため、配置基準の改善が求められています。 

 

② 保育の質向上 

配置基準を見直すことで、子ども一人ひとりにより手厚い保育を提供できるようになります。 

 

特に4-5歳児のクラスでこれまで定められていた「30人に1人」という配置基準は、先進国の中でも最低基準とされてきました。 

 

配置基準が改善されれば、子どもへの対応がより丁寧になり、保育の質が向上すると期待されています。 

 

③ 人材不足の解消と定着率の向上 

保育業界では、慢性的な人手不足が問題となっています。保育士一人当たりの園児の数が多すぎると、新人保育士が現場の負担の大きさに耐えられず、早期離職してしまうケースも少なくありません。 

 

適切な配置基準が整備されれば、保育士の働きやすい環境が確保され、離職率の低下につながる可能性があります。 

 

また、待遇改善やICT導入と組み合わせることで、より多くの人材を確保しやすくなるでしょう。 


保育士の配置基準改善の流れと改正内容 


 政府は「こども未来戦略」のもと、2024年度より保育士の負担軽減や保育の質向上を目的とした改革を進めています。 

 

ここでは、2024年度から2025年度にかけての具体的な改正内容について詳しく解説します。 


2023年度|「こども未来戦略」の策定 

待機児童対策が進んだことで園児の受付可能数が増えた一方で、幼児教育・保育現場における事故や不敵さ綱対応事案が発生しています。 

 

この現状を改善するために「こども未来戦略」では、75年ぶりとなる保育士の配置基準の改善を順次実施していくことを示しました。 

 

2024年度より4・5歳児における保育士の配置基準を改善、1歳児については2025年以降改善することが示され、4・5歳児においては既に実施されています。 


2024年度|3-5歳児の配置基準を変更 

2026年度からは、3歳以上の保育士配置基準が段階的に改善されます。特に、4-5歳児クラスの配置基準の変更と、満3歳児の配置基準の新設が大きなポイントです。 

 

4-5歳時の配置基準が改善 

2024年度以前は、4-5歳児30人に対して保育士1人とされていました。しかし、2024年度以降は4-5歳児25人に対して保育士1人に改善されています。 

 

満3歳児の配置基準が新設 

今までは満3歳児に関する明確な配置基準はなく、多くの保育施設で3歳児クラスと同じ「保育士1人につき子ども20人」を基準としていました。しかし、3歳未満の子どもと3歳児では発達段階に大きな違いがあり、より手厚い保育が求められます。 

 

そのため、2026年度からは満3歳児向けに新たな配置基準が設けられ、満3歳児15人に対して保育士1人となりました。 

 

この改善により、保育士の負担が軽減され、子ども一人ひとりにより細やかなケアを提供できるようになりした。 

 

一方で、すぐに保育士を確保できない保育園もあるとし、いずれも経過措置・加算措置が設けられています。加算の条件は新しい基準以上に保育士を配置することですが、経過措置の期間はまだ決まっていません。 


2025年度|1歳児の配置改善に対して加算を新設 

2025年度からは、1歳児クラスの配置基準改善に対する加算措置が導入される予定です。 

 

配置改善すると加算措置を受けられる 

現在の1歳児の配置基準は、保育士1人につき子ども6人ですが、この基準をより手厚くする施設に対して、国が加算措置を提供する制度が始まります。 

 

例えば、1歳児5人に対して保育士1人のように、国の基準よりも少人数制を採用する施設に対して補助金が支給される形が想定されています。 

 

この制度の導入により、以下のようなメリットが期待できます。 


  • 保育士の負担軽減による離職率の低下 

  • 1歳児へのより手厚い保育の提供 

  • 保育施設の運営改善と保育の質向上 

 

加算を受けるための条件とは? 

加算措置を受けるためには、以下の条件を満たす必要があると考えられます。 

 

  • 1歳児の職員配置を5:1以上に改善していること 

  • 処遇改善等加算ⅠⅡⅢの全てを取得していること 

  • 業務においてICTの活用を進めていること 

  • 施設・事業所の職員の平均経験年数が10年以上であること 

 

これらの条件をクリアすることで、加算措置を受けながら、より良い保育環境を整えることが可能になります。 

 

また、ICTシステムについては、①登校園管理、②計画・記録、③保護者連絡、④キャッシュレス決済のうち、①に加えてもう1機能以上の機器を導入して活用している場合が対象です。 

 


配置基準の改善からわかる今後の動向 

配置基準の改善により保育士の負担軽減や保育の質向上が期待される一方で、新たな課題も生じる可能性があります。


ここでは、配置基準の改善によって今後どのような変化が起こるのかを詳しく解説します。 


保育士の確保がより困難に 

配置基準が改善されることで、保育現場に求められる保育士の数が増加しています。


例えば、4-5歳児の基準が「1人あたり30人→25人」に変更されることで、新たに保育士を追加採用する必要が出てきました。 

 

しかし、現在の保育業界は慢性的な人材不足の状態が続いており、特に地方の保育施設では、新たな保育士を確保することが難しくなっています。 

 

2025年度以降はこの流れがより加速する可能性があります。 

 

今後予想される課題 

  • 必要な保育士の人数が増加するため、採用が難しくなる 

  • 人材流出により、運営が難しくなる保育園が出る可能性がある 

  • 保育士の給与や待遇の改善が求められ、保育施設の経営負担が増す 

 

配置基準の改善によって保育士の働きやすさは向上すると考えられますが、保育園が一斉に人材を増やそうとすれば人材は確保難しくなるでしょう。 

 

その結果、保育施設側は待遇の見直しや働きやすい環境づくりを進めていかなければならなくなる可能性があります。 


国がICT化を推し進めていく 

保育士不足が深刻化する中で、国はICT技術の活用を推進しています。


保育士の業務負担を軽減し、より少ない人員でも適切な保育を提供できるようにするため、デジタル技術を活用した業務改善が求められています。 

 

保育現場でのICT活用例 

登降園管理システム

タブレットやスマートフォンを活用し、登降園の記録をデジタル化。保護者との連絡もスムーズに行える。

保育記録のデジタル化

手書きの記録を減らし、子どもの成長記録や連絡事項をアプリで管理。業務の効率化につながる。

午睡チェックの自動化

センサーやカメラを活用し、午睡中の子どもをリアルタイムで見守る。異常があれば即時アラートを通知。

政府の方針としても、ICT技術を活用することで保育士の業務負担を軽減し、人手不足の問題を補うことが推奨されています。 

 

今後、保育施設側もデジタル技術の導入を検討していく必要があるでしょう。 


午睡チェックカメラ「ベビモニ」の活用 


ICT化の一環として、午睡チェックを自動化する「ベビモニ」のような機器の導入が注目されています。 

 

保育士は、子どもが午睡中に定期的な目視確認を行う必要がありますが、この業務は大きな負担となっています。 

 

「ベビモニ」を活用すれば、天井に設置したAIカメラによる自動モニタリングが可能になり、保育士の業務負担を大幅に軽減できます。 

 

ベビモニの導入によるメリット 

  • 午睡中の子どもの状態をリアルタイムで監視し、安全性を向上できる 

  • 5-10分おきに実施する午睡チェックを自動化し、他の業務に集中できる 

  • うつぶせ寝を検知した場合、アラート機能により即座に対応できる 

 

保育士の配置基準が見直される中で、人材不足を補いながら質の高い保育を実現するためには、ICTの活用が不可欠です。


「ベビモニ」のような午睡チェックカメラを導入することで、保育士の負担を減らしつつ、子どもの安全を確保することができます。 


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まとめ 


2024年度から始まった保育士の配置基準の見直しは、今後の保育園の運営に大きな影響を与えるでしょう。


保育士の負担軽減や保育の質向上が期待される一方で、保育士不足の課題やICT化の推進も求められます。 

 

今後の変化に柔軟に対応しながら、保育施設は「保育の質」と「業務効率化」のバランスを取る必要があります。


ICTツールの活用や業務改善を進めることで、より良い保育環境を実現していきましょう。 

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