睡眠中の安全対策ガイドラインまとめ



乳幼児突然死症候群(SIDS)とは

乳幼児突然死症候群(SIDS)は、何の予兆や既往歴もないまま乳幼児が死に至る、原因の分からない病気のことです。うつ伏せ寝や毛布などを被ってしまうことによる 窒息などの事故とは異なります。

令和元年(2019年)においては年間75名の乳幼児が亡くなっており、乳幼児の死亡原因としては4位となっています。


日本国内におけるガイドラインと取り組み

厚生労働省から平成27年12月の「特定教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会 最終取りまとめ」を踏まえ「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」が作成され公開されています。

内容としては、保育における場面ごとの事故防止(予防)のための取組みや、設備・組織体制の整備、事故発生時の対応方法から再発防止策の策定方法までがまとめられています。

その中でも睡眠時の事故防止のための取り組みについて抜粋して紹介します。


睡眠中の注意事項について

  • 乳児の窒息リスクの除去

  • 医学的な理由で医師からうつ伏せ寝を勧められている場合以外は、乳児の顔が見える仰向けに寝かせることが重要。

  • 何よりも、一人にしないこと、寝かせ方に配慮を行うこと。

  • 柔らかい布団やぬいぐるみ等を使用しない。

  • ヒモ、またはヒモ状のものを置かない。

  • 口の中に異物がないか確認する。

  • ミルクや食べたもの等の嘔吐物がないか確認する。

  • 子どもの数、職員の数に合わせ、定期的に子どもの呼吸・体位・睡眠状態を点検すること等により、呼吸停止等の異常が発生した場合の早期発見、重大事故の予防のための工夫をする。


毎年実施されている乳幼児突然死対策強化月間

また厚生労働省は、SIDSは12月以降の冬季に発生しやすい傾向があることから、毎年11月を乳幼児突然死症候群(SIDS)の対策強化月間と定め、SIDSに対する社会的関心を喚起するため、発症率を低くするポイントなどの重点的な普及啓発活動を実施しています。

この啓蒙活動における主な取組みについて紹介します。

  • 1歳になるまでは、寝かせる時はあおむけに寝かせる

  • できるだけ母乳で育てる

  • 保護者等はたばこをやめる

平成11年からこのキャンペーンは継続して実施されており、それまで年間約400人ほどがSIDSによって亡くなっていましたが、その後減少傾向が継続し、現在では年間80~100人程度の発症数となっています。

令和3年度の実施要項はこちら


米国小児学会における睡眠時のガイドライン

米国においては、年間約3,500人の乳幼児が乳幼児突然死症候群(国際疾病分類:SIDS [ICD10 R95], 原因不明な死亡 [ICD-10 R99] を含む)によって亡くなっています。

このような背景から、米国小児学会では睡眠に関連するすべての乳幼児死亡リスクを軽減できる安全な睡眠環境をガイドラインによって推奨しています。

それらの推奨事項は、エビデンスの強さによっても分かりやすく分類されているので順番に紹介します。

出典のペーパーはこちら


エビデンスAレベルの推奨事項

  1. 毎回仰向け姿勢で眠らせること。

  2. 硬めの寝具を使用すること。

  3. 母乳育児をすること。

  4. 乳幼児とは同室内で就寝し、別々の寝具を使用すること。

  5. 乳幼児が眠る場所に、柔らかいものや緩い寝具を置かないこと。

  6. 昼寝や就寝時におしゃぶりを与えることを考慮すること。

  7. 妊娠中および出産後はタバコの煙を避けること。

  8. 妊娠中および出産後はアルコールおよび違法薬物を避けること。

  9. 過度に熱くなることを避けること。

  10. 妊婦は定期的に妊婦検診を受けること。

  11. 乳児はAAPとCDCの勧告に従って、予防接種を受けること。

  12. SIDSのリスク軽減のために、家庭用心肺モニターを使用しないこと。

  13. 医療従事者および新生児保育所やNICUのスタッフ、保育士は、出生後からSIDSのリスク軽減のための推奨事項を支持し、模範となるようにすること。

  14. メディアや製造業者は、広報や広告において睡眠時の安全ガイドラインに従うこと。

  15. SIDSおよび窒息、その他の不慮の死を含む睡眠に関するすべての乳幼児死亡のリスク軽減に焦点を当てた「Safe to Sleep」キャンペーンを継続すること。小児科医やその他の乳幼児保育提供者は、このキャンペーンに積極的に参加すること。

エビデンスBレベルの推奨事項

  1. 睡眠時の安全ガイドラインと矛盾する市販の機器の使用は避けること。

  2. 発育を促進し、頭位性斜頭症の発症を最小限に抑えるために、監視下の元で起きている時間にうつ伏せで過ごさせること。

エビデンスCレベルの推奨事項

  1. SIDSやその他の睡眠に関する乳幼児死亡の危険因子、原因、病態生理学的メカニズムに関する研究と調査を継続し、これらの死亡を完全になくすことを究極の目標とすること。

  2. SIDSのリスク軽減を目的としたお包みの利用を推奨するためのエビデンスはないこと。


安全対策に関するまとめ

日本と米国における安全のためのガイドラインを紹介しましたが、総じて言えることは乳幼児が安全に眠れる環境を整え、仰向けに寝かせながら大人が近くで見守ることが重要だということです。

国内の多くの保育園では午睡チェック・ブレスチェックと呼ばれ、5分もしくは10分ごとに子どもの状態を確認し記録を残すオペレーションを行なっています。

しかしながら、保育士の業務は多忙を極めており、保育士1人あたりで見守る乳幼児の数の多さや記録作業の負荷、休憩時間確保などまだまだ現場には課題が多く残っています。

このような状況を改善していくためにも、保育士の業務をサポートし、より安全安心な保育環境を作っていくAIやITシステムの活用も今後重要になってくるのではないでしょうか。